Hold Fast that Which is Good

良きものをつかむために綴るブログです。皆様のレスポンスが何よりの活力になります。どうぞよろしく。

  follow us in feedly  


【厳選シリーズ】サカサマのパテマ

このエントリーをはてなブックマークに追加
あとで読む

吉浦康裕監督作品

f:id:holdfast:20150614192841j:plain

今回のアニメーション映画は、最近観た中で限定版ブルーレイまで
持つに至るくらい気に入った、【厳選シリーズ】のトリを飾る3作目で
2013年公開のオリジナル作品、サカサマのパテマを取り上げます。

トリを飾るだけあり、3作品の中でも最も素晴らしい映画だと思った本作も
ジュブナイルSF映画ではありますが、あまりにも奇抜なアイデアをウリに
一大スペクタクルを築いた快作となっています。

とは言え、ストーリーは新海監督の星を追う子どもよりも
天空の城ラピュタの影響が色濃く出ているだけあり、王道を貫く構成にも
なっています。

何故私がこの作品を【厳選シリーズ】の中で最も気に入るに至ったか、
それを含めてご紹介していきたいと思います。 

 

サカサマのパテマ

サカサマのパテマ

  • 吉浦康裕
  • SF/ファンタジー
  • ¥2000

 

 

 

サカサマ人間

f:id:holdfast:20150614202241j:plain

画像の少女が、地下世界の長の娘、【パテマ】で1人目の主人公です。
地下集落に住む彼女は同じ地下世界の冒険家のラゴスに憧れており、
彼から1枚の写真を受け取ります。

 

f:id:holdfast:20150614204617j:plain

『この世界には、ここではない【本当の世界】がある』

地下世界には全く存在していない空と雲が写っている写真を見たパテマは、
その【本当の世界】を目指して、地下世界の中で【危険地帯】とされている
縦穴通路への探検を試みます。

しかしある日、その探検中にアクシデントに遭遇し、彼女は通路から下へ
真っ逆さまに落ちていってしまう・・・という所から物語が始まります。

 

f:id:holdfast:20150614210042j:plain

一方、浮かない顔をしながら空を見つめている画像の少年が
もう1人の主人公、【エイジ】です。
そんな彼の前に、先程縦穴通路から落ちたパテマが現れることになるのですが、
その登場の仕方がエイジの度肝を抜く事になります。

 

f:id:holdfast:20150614211749j:plain

なんと、エイジから見たパテマは、【常にサカサマ】状態だったのです。
もちろんそれは逆も然りで、パテマから見たエイジも常にサカサマです。
つまり、この2人は重力が真逆同士であり、エイジのいる世界では
パテマは反重力状態となってしまうのです。

 

f:id:holdfast:20150614212208j:plain

この場合深刻なのはパテマの方で、重力が逆になっているのですから、
パテマは何かに掴まったりしがみついていなければ、真っ逆さまに
【空へと落ちていく】ことになり、即死は免れません。
しかしそんな状況を会ったばかりではいまいち理解できていないエイジと、
自分と反対の重力の人間に出会ってしまって困惑しつつ生命の危機も感じるパテマ。
お互いがお互いを奇異の視線で見つめるこの出会いこそが、
世界の真実を明らかにする壮大な冒険の幕開けとなります。 

サカサマのパテマ 限定版 [DVD]
 

 

 

絶対管理社会、【アイガ】

f:id:holdfast:20150614214841j:plain

エイジのいる世界、つまり地上世界なのですが、
そこは【アイガ】と呼ばれる徹底された管理社会になっていました。

 

f:id:holdfast:20150614215607j:plain

その管理体制はもはや異常としか言い様がない徹底ぶりで、
学校に通う生徒も、画像の通りまるで小包のようにベルトコンベアで運ばれていく
程のものです。

 

f:id:holdfast:20150614220140j:plain

なお、アイガでは【空を見ること】が厳格に禁止されており、
『かつて、多くの ”罪人” が空へと落ちた』と言い伝えられているので、
空は罪人しかいないロクでもない所であり、その罪人こと【サカサマ人】
存在自体許されざる者とされているのです。

過去に、エイジの父親が空を目指そうとしたことがあったのですが、
いざ目指さんという時に突如、原因不明の死を遂げるという事故が発生しています。
エイジはそんな父親の下に育っていることから、
「空を見ることがそんなに悪いのか?」と思っているのですが、アイガでは
そのようなことが当然許されるはずはなく、エイジは異端者のような扱いなのです。
それ程アイガは絶対管理社会なのです。

このアイガという国を統べる絶対的独裁者として君臨しているのが、
アイガ君主、【イザムラ】です。

 

f:id:holdfast:20150614220741j:plain

まさに徹底的な悪党としてアイガを統率し、ワルサーP38まで所持する彼は
世界のどこかに潜伏しているであろうサカサマ人を根絶やしにするために
日々潜伏先を捜索しています。

そんな中でのパテマ登場は、当然イザムラにとって許されることではないですから、
あの手この手で彼女を見つけ出そうとします。 
物語はパテマの命運をかけたスリリングな展開になっていきます。

サカサマのパテマ (小学館文庫)

サカサマのパテマ (小学館文庫)

 

 

 

踏みしめる地面が【ない】ことの恐ろしさ

f:id:holdfast:20150614225532j:plain

パテマがアイガで初めて星を見て「きれい」と言った時、
エイジは「そんなこと言ってくれたの、パテマが初めてだ」と言って
嬉しがります。
2人はこれを機にどんどん親しくなっていきますが、パテマにとっては
この星が見える所というのは、【踏みしめる地面がない場所】を意味します。

この映画は【踏みしめる地面がないことの恐ろしさ】を何度も効果的に映していて、
もし反重力状態の者が掴まったりしがみついていた時に手を離してしまったら、

 

f:id:holdfast:20150614230237j:plain

このように最悪の事態を招くことになるのです。
そのためには絶えず何かに掴まっていなければならないというわけです。

 

f:id:holdfast:20150614230502j:plain

 

そう、それが例え最も忌み嫌う存在であろうとも・・・ 

 

サカサマのパテマ 通常版 [DVD]
 

 

 

この人の手を離さない

f:id:holdfast:20150614231938j:plain

そんな状況下にあることから、この映画は何かと人同士が掴まったり
抱きつきあったりと大胆なシチュエーションが多いですw
画像の状況なんてぱっと見羨ましすぎる光景としか思えませんが、
こうでもしないと片方は間違いなく即死ですからね。

クライマックスでは、【意地でも離さない】というシーンがあるのですが、
何かこの状況って、前にどこかで見たような気がするのは気のせいでしょうか?

 

f:id:holdfast:20150614233139j:plain

こんな風に、『この人の手を離さない、僕の魂ごと(ry』みたいなのって・・・





 

f:id:holdfast:20150615170659j:plain

 

あ、それってICOじゃないですか!w 

 

サカサマのパテマ 公式設定資料集

サカサマのパテマ 公式設定資料集

 

 

ICO

ICO

 

 

 

まとめ:ラピュタICO

f:id:holdfast:20150614233905j:plain

この映画をぶっちゃけてまとめると、ラピュタICOを混ぜ合わせた作品】
と言えるでしょう。

王道のジュブナイル・アドベンチャー、善悪がはっきり描かれているところ等は
紛れも無くラピュタです。
今作では完全にパテマ=シータエイジ=パズーイザムラ=ムスカ
置き換えられても仕方ない程キャラクターの方向性が一致しています。

特にイザムラはムスカ以上に陰湿ですが、ムスカ以上に小物臭が強いですw
しかし話を盛り上げるに彼以上の大きな存在はありません。
吉浦監督も彼のキャラ設定にはかなり力を入れた、とのことです。

一方、生きるために、大切な人と共に居たいためにお互いを決して離さないという
一連のシーンは紛れも無くICOです。

これも監督自身がICOに大きな影響を受けたと公言していますし、
最もわかりやすいものとして、主題歌を完全にICOっぽい曲調にしているのです!

そもそもこの映画の劇伴を、ICO大島ミチルさんが担当していることもあり、
監督は確信犯的にICOの【You were There】っぽい曲にして下さい!」
オーダーしたとぶっちゃけていますので最高ですw 

映画『サカサマのパテマ』主題歌「Patema Inverse」

映画『サカサマのパテマ』主題歌「Patema Inverse」

  • Estelle Micheau
  • アニメ
  • ¥250

 

ICO-You were there-

ICO-You were there-

こうやって聴き比べてみると、あからさま過ぎてもう笑うしかありませんw
まあしかし、ICOっぽくするというのはこの映画のコンセプトに合致している
ことでもありますから、実に効果的なのではないかと思います。
私、ICOPS3でプラチナトロフィーまで取ったくらいに大好きな作品ですから
初めて主題歌を聴いた時は鳥肌が立ちました。

これ、もしこの映画を知らずにいきなり主題歌を聴いたら、
ICOの続編が出たん!?」と勘違いされかねないですw

そんなこんなありますが、私はこの映画はラピュタと同じくらいに
面白いと思いました。
実は初見時は中盤過ぎの辿り着いた所のことや、最後のオチの意図が
さっぱりわからないまま終わってしまったので、最初は面白くない映画だと
思っていました。

ですが、少し後になって真相を知った時、とんでもなく鳥肌が立ったものです。
この映画、あまりにも舞台背景の説明をしなさすぎるので、時々意味がわからなく
なることがあるんですよね。
しかも、サカサマを活かすためにカメラが度々180度切り替わるので、
どっちの重力の話かごっちゃになることもあります。

そういったハードルの高さはありますが、主人公がサカサマ人間という
奇抜なアイデアからなる冒険活劇というのは、極めて強く印象に残りました。
そういう意味ではラピュタ以上であると言えます。
オチの衝撃度も非常に高く、見応えも段違いです。

 

7月12日追記:

実はこの作品よりもに、サカサマ人間を映画化した作品が存在します。
ご興味のある方は、下の記事を参照して下さい。

 

【追記ここまで】

 

ラピュタICOが好きなら何が何でも観るべき作品です!
まだ観ていない方はぜひ1度ご覧になってみてはいかがでしょうか?
ちなみに限定版ブルーレイは特典としてサントラ小説付特製ブックレット
最後の手紙レプリカが付属しています。
この内、サントラは一般販売していないので貴重です!

Patema Inverse

Patema Inverse

 

 

ICO-You were there-

ICO-You were there-