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Hold Fast that Which is Good

良きものをつかむために綴るブログです。皆様のレスポンスが何よりの活力になります。どうぞよろしく。

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【児童文学】トムは真夜中の庭で

書籍
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あとで読む

フィリパ・ピアス作、高杉一郎

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今回は、以前から記事として取り上げると決めていた、【児童文学】から
記事にしてみようと思います。
その記念すべき1作目は、1958年にイギリスで発表され、後にカーネギー賞
受賞した、フィリパ・ピアス作、高杉一郎訳のクラシック・ファンタジー作品、
トムは真夜中の庭でを取り上げます。
(日本では岩波少年文庫から出版。原題:Tom's Midnight Garden)

この作品は何としても読みたいと思っていました。
何故なら、私が児童文学を読むきっかけにもなった思い出のマーニーの書評を
読んでいると、各所で必ずと言っていい程この作品の名前が挙がっていたからです。

中には、思い出のマーニートムは真夜中の庭でのパクリ」とまで
書かれている始末。

「果たしてそれは事実なのか、もしそうならこの作品はマーニー同様
ケタ外れに面白いに違いない!」と、
大変興味深くなった私は率先してこの本から読むと決めました。
一体どのあたりがマーニーっぽいのか、そしてどれ程面白い話なのか、
345ページに渡る大作を読んでみた感想などを書いていきます。

 

Tom's Midnight Garden

Tom's Midnight Garden

 

 

 

【はしか】の兄弟

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この本の主人公【トム・ロング】は、ある理由から親戚の叔父・叔母の家に
一時期の間預けられることになりました。
弟の【ピーター】が【はしか】にかかってしまったため、
それが伝染らないようにするための措置だったからです。

しかし本当はトム自身は【はしか】にはかかっていないのですが、
叔父の【アラン】と叔母の【グウェン】
トムに【はしか】が伝染っているかもしれないと思い込んでいるので、
トムを基本的に外出禁止にする方針を打ち出します。

トムはそんな状況に心底不満を持っていました。
自分の家には庭があって、その庭でピーターと色々遊ぶつもりだったのに、
連れて来られた家には庭もない上に狭苦しい部屋に押し込められるだけなのか、と。

「お前のような【はしか】持ちの子供は1日10時間は寝るんだ、わかったな!」
アランはトムに言いつけ、グウェンも眠れないと言うトムに「気のせいよ」
話をバッサリ切って捨てる始末。
トムは、「こんなつまらん所から出ていけるのならば何でもする」とまで
思うようになります。

 

 

存在しないはずの庭園

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ある日、トムは家にある大時計から13回の鐘の音を聞いて驚きます。
その大時計というのは、叔父叔母の家の大家である【バーソロミュー夫人】の物で、
触ってはダメだとグウェンに言い聞かせられていました。
そんな大時計から13回も鐘の音が鳴るのはどういうことかと思ったトムは、
真夜中であるにもかからわず大時計の近くにある裏口のドアを開けます。

すると、そこには花壇があり、花が咲き乱れ、木もそびえ立つ立派な庭園
ありました。
家には存在しないはずの庭園があることに、トムはまた驚きます。
そこには女中さんらしき人がいたのですが、彼女はトムと向かい合っているのに
トムを全く存在していないかのように何の注意も払っていませんでした。
他の人も同じくトムの姿を認識していない感じでした。

他にもドアをすり抜けることができたり、雷によって倒れた木が復活したり
現実世界では全くあり得ない光景を次々に目にして、トムは混乱するのですが、
最も不思議なのは、その庭園には数時間はいたはずなのに、
家に戻ると数分しか経っていないことがわかり、全く以て何もかも謎だらけです。

「僕はこの庭園では幽霊か何かなのか?」とトムは考えるようになります。

 

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後日、トムはそれらのことをアランとグウェンに話してみたのですが、
「この世で最も悪質なウソだな」とか「夢でも見たのよ」と言いがかり扱いでした。

叔父叔母は全く話にならない存在でしたが、
庭園の存在は冒険好きなトムにとってはまさに希望の光そのものでした。
トムは謎だらけで幽霊みたいなあやふやな存在にはなるが、
不思議な魅力を感じるこの庭園に足しげく通うようになります。

 

 

少女との出会い

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何度か庭園を探検しているうち、トムはある子供たちの集団に出くわします。
【ヒューバート】【ジェームズ】【エドガー】のメルバン家3人の兄弟に加え、
そこに1人の少女が現れます。

その少女は【ハティ】と呼ばれていて、3人兄弟と一緒にはいるものの
普段から結構からかわれていました。
4人はトムがいる庭園で色々と遊んでいましたが、トムはこの4人を
【無礼な奴ら】だと思って、どうせ誰にも見えないんだからということで
舌を出してみたのですが、なんとその直後にハティがトムに舌を出してきたのです!

びっくりしたトムはもうひとつ試しに「君は僕の方を見ていただろう?」と聞くと、
「ずっとずっと前から見ていたわ!」と言い返されてしまいます。

初めて庭園内で自分を認識してくれた少女、ハティ。
彼女との出会いによって話し相手ができたトムは、彼女との交流を深めていきます。
しかし彼女はトムにこう自己紹介をするのです。

 

「私、王女よ」と。

 

 

庭園では【時】は全くあてにならない

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そんな自称【王女】と衝突もしながら色々な秘密や価値観を
共有していくトムでしたが、やがてトムはある事実に気づき始めます。

 

「庭園では【時】は全くあてにならない」

 

倒れた木が復活したりしたのもそうですが、ハティと一緒にいるようになると、
ハティが庭園のあるメルバン家の邸宅に初めてやってきた時の頃にまで遡ったり、
その直後にまた先の時代へ進んだりするのを見てきたからです。

「もしかして僕じゃなくてハティが幽霊なんじゃないか?」と思ったトムは
百科事典等でハティがいつの時代の生まれなのかを調べ始めるのですが、
さんざん調べつくして得られた結論は、

 

「ハティは今から【100年以上前】の時代の女の子である」


というものでした。

果たしてハティとは何者なのか?
時の流れがむちゃくちゃなこの庭園は一体何なのか?
トムが自分の【時】とハティの【時】が違っていることに気づき始めた時、
あるアクシデントが発生する、というお話になっていくのですが・・・

 

 

まとめ

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全部読んで思ったのは、確かに思い出のマーニーと似ている部分が多いです。
具体的には以下の点です。

  • 主人公が親戚の家に厄介になる
  • 自分が住んでいる世界とは違う世界の女の子に会う
  • オチが完全に一致

主人公の性別や幽霊云々といった違いはありますが、
マーニーを読んだ後だと、このように似ていると感じる箇所をいくつも
確認することができます。

特に最後のオチは似ているどころでははなく、完全に一致です!
この本は27の節が存在しますが、
その最後の第27節は、まるでマーニーを読んでいるかのようでした!w
叔母の話で締めている所なんて、気味が悪い程そっくり!
これは「マーニーはこの本のパクリ」と言われるのも無理ありません。
だからこの本の名前が挙がっていたんだ、と納得しました。

ただし、マーニーは夢想的な話やミステリーの要素が多いのに対し、
この作品はタイム・トラベルの要素が色濃く表現されています。
それはトムがやんちゃ坊主の面があることからも伺えますが、謎を解くよりも
「いろんな時間へ飛んで楽しく過ごしたい」という方向にシフトしているので、
何から何までパクリというわけでもないことは申し上げておきます。

マーニーと同様、この作品も児童文学にしては非常に深いテーマで綴られていて、
【時とは何か?】という、答えを出すのは困難を極めるものに
真正面から切り込んでいます。
表彰モノだけあって、読み応え抜群の大傑作であり、
マーニーと同じくらい非常に面白かったです。
看板に偽り無し!ぜひ皆さんも一度読んでみてはいかがでしょうか。

 

 

それにしても、イギリスの児童文学の挿絵って、本当に独特ですよね。
上の画像なんて、初見だと笑いを取りに来てるのかと思うくらい2人がブサい!

 

でもマーニーなんて映画の画と比べられる分、もっと凄いですよ。何故なら、

 

 

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これが、

 

 

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これですから。




 

「誰やねんお前ら!?」

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