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農業とビジネス

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農業を初めて半年

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早いもので、私が農業を始めて半年が経ちました(正確には7ヶ月)。
うちは養鶏(肉用鶏)を営んでいますが、何せ鶏どころか農作業自体が初めての私は
見るもの聞くもの全てが未知の領域の上、海外暮らしのハードルも相まって
最初の頃は何が何だか意味がわかりませんでしたw

でも色々と経験し、理解し、実践し、相応の成果を得たことで
今はそれなりに形になってきつつあります。
一時はどうなることかと思った事態も幾度となくありましたが
全員で力を合わせて、この半年程で4回出荷にこぎつけました。

今回はうちの農業について少し突っ込んだ内容を書いていこうかと思います。
ただし、今回は結構内容がハードかつキツいことが予想されますので
それでも大丈夫な方は続きをお読み下さい。

 

 

 

ビジネスとして【育てる】

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まずはうちの農場の面子からご紹介します。
うちは経営者の叔父とその息子、そして投資者兼農業従事者としての、
計3名で運営しています。

叔父と甥は養鶏歴6年、私は約半年です。
農場はICT技術をふんだんに取り入れ、在来式のような何もかも手作業の
糞しんどさから開放され、基本的にコンピューターが環境を自動制御して
ひよこや鶏を育てる方針としています。
これにより、経験不足の私でもそんなに高いハードルではない状態で
農業が出来るので大変助かっています。

ここではっきり申し上げておきたいのは、この3人は全員、
ひよこや鶏が大好きで手厚く可愛がるために養鶏をしているのではない
ということです。
【手早くかつ結構金になる農業だから】ということで、要はビジネス的視点全開で
養鶏をしているのです。

もっと言いますと、叔父と私はそんなにひよこや鶏が好きではありません。
鶏肉と金は大好きですが、生物であるひよこや鶏は臭いし偉そうにしてるし
そのくせすぐストレスを溜めては死ぬことも多々あることから
正直ウンザリすることもあるが、金のために仕事として育成しているだけです。

日本では肉用鶏、いわゆるブロイラーは大体1サイクルが40~50日程度
かかるのに対し、うちは30日前後で出荷するため、日本よりサイクルが早く、
手っ取り早く金が入ることにより、まるで月収感覚で収益を得ることが出来ます。
これがもし牛や豚だった場合、豚は半年、牛は2年もの間無収入状態
育てなければならなくなる(その代わり出荷後の収益は高い)ので、
「半年とか2年もタダ働きなんぞ馬鹿馬鹿しくてやってられんな」ということで
鶏を選んだ次第です。

特に私は叔父や甥よりもビジネス的視野が強く、毎月相応の収入がなければ
即座にブチ切れることにしているため、叔父や甥には暗黙のプレッシャー
かけ続けていますw
何故なら私は投資者であり、私の家はこの農場を作るために莫大な資金を
投入したので、その対価は当然求めていかねばならない立場であるからです。
(実際とは異なりますが極端な例で言いますと、毎月50万円は私に寄越さんと
焼きを入れる、とかですw)

 

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うちの農場の目的は、上の写真にありますように、
【なるべく大量の良質な鶏肉を生成して出荷すること】です。
そのためにはひよこや鶏にはチンタラではなく迅速にかつすくすくと育ってもらわねば
ならず、それを実現するためにありとあらゆる措置を施します。
鶏舎内の環境整備はコンピューターがするにせよ、
発酵飼料の生成や薬品管理等はまだまだ人手が必要な部分であり、
いくらICT農場とは言っても、何から何までコンピューター任せにはしません。
まあ、全部をコンピューター任せにすることでより収益になるのならそうしますが、
現状それは不可能な領域ですので、結局私達があれこれ世話をすることになります。

 

しかし、確かに良質な鶏肉を作り上げるために私達はあの手この手で
徹底的にひよこや鶏を育てていくわけですが、
そこにはとある前置詞が必ず付くことになります。

 

 

そう、【商品価値があれば】というものが。

 

 

徹底した育雛管理

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当たり前といえば当たり前の話ですが、
養鶏といえどもこれは【ビジネス】なので、収益第一に考えて農場運営を
していく必要があります。
つまり、不経済なことや金にならないことは徹底的に排除、回避しなければ
なりません。

孵化場からひよこがやって来た瞬間から、ひよこたちは我々の厳しいチェックを
絶えず受けることになります。
チェックは毎日行い、ちゃんと一定以上のペースで増体がなっているか
餌を無駄食いしていないか健康上の異常がないかを調べます。
(毎日1回は我々が直接鶏舎の中に入り、鶏たちを厳重にチェックしていきます)
これらのチェックを通過したひよこや鶏は【商品価値のある鶏】として
我々も手塩にかけて約1ヶ月の間育てていくことになります。
それもまるで7つ星ホテルのような超特別待遇でしっかり育てていくのです。

ただし、数日経っても増体があまり認められなかったり、動きが芳しくなかったり、
周りと比べてやたら小さいひよこや鶏は、【商品価値のない鶏】となり、
即座に鶏舎どころかこの世からフェードアウトしてもらいます。
(はじめから死んでいるのも当然ダメ)

これはもう当然の話で、商品価値のないひよこや鶏を生かしておいたところで、
【価値がないくせに餌場を荒らす】【商品価値のある他の鶏達の生活の場を狭める】
【疾病の原因となる】と、まさに百害あって一利なしの有様だからです。

特に餌の問題は深刻で、商品価値のない鶏達が餌を食べれば食べる程、
飼料効率(飼料要求率)が悪くなるので、その分金にならなくなっていくからです。
こんな不経済かつ馬鹿げた話はあってはならないので、即刻淘汰します。
たとえ生後数日の小さいひよこや出荷直前の大きな鶏であろうと、
商品価値がなければ生きている価値もある訳ないので。
この業界、売れてナンボの世界ですから、そこら辺の育雛管理は徹底的に行います。

 

もちろん、孵化場にも厳しいチェックをする必要があります。
そもそもひよこは孵化場から送られてくるわけですが、
その時点でロクでもない状態のひよこが来てしまうと、育てるのも金にするのも
しんどくなるので、孵化場にはピーク状態の最良のひよこを送るようにさせる
必要があります。

【弱雛】という、元から体も弱く大きくもない上に免疫力や抵抗力も期待出来ない
ひよこなんぞを送りつけられでもしたらもう最悪です。
実際、4回目の入雛(ひよこが鶏舎に初めて入る時のこと)は弱雛が割合多く、
45g以上あるのが普通なところ、32~33gとかいう重量を見た時、
「何だこのゴミは!?」と我々は全員そう思いました。
さすがの叔父もブチ切れて
「こんなどうしようもないひよこを送りつけてくるな、うちはゴミ捨て場ではない!」
と孵化場に猛抗議していました。

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そして、実は出荷もチェックの目を向けねばなりません。
そもそも出荷日をどう決めているかを説明しますと、
【これ以上餌やってもあんま太んねーし餌と時間と金の無駄だからとっとと出てけ】
という判断を下した時が出荷日です。
それが大体入雛から1ヶ月となっています。

これは先程の飼料効率の話と同じで、餌をやる以上は太って肉をつけてもらわねば
ならないのに、それが成されないのであれば、これ以上育てる意味も必要も
ないことになるからです。

それに、いたずらに鶏を長期間育てるのは全く不経済極まりない話で、
なるべく鶏を早く、大きく、大量に出荷できれば、その分取り分も多くなることから
超効率的に育雛管理をしなければなりません。

そして、出荷の時は鶏達に数時間前から完全に絶食させます。
これは上の写真のようにして鶏は農場から屠殺場に送られるわけですが、
移送の最中にケージ内に糞を落とすことによる汚染を最小限に食い止めるため
衛生的な管理方法として必要な手順となっています。
文字通り糞みたいな話ですが、これが収益に大きな影響を与える一因なので
神経を使う必要があるのです。

 

とまあ、上にご紹介したのはほんの一部です。
実際の育雛管理はこれの何倍もやることがありますので大変といえば大変ですが、
それを乗り越えた先に大きな収益が待っていますので、今日も私達はせっせと
次の入雛準備に取りかかっています。

 

 

まとめ

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私にとって農業はあくまで【ビジネス】
金になればOKですが、ならなければ即刻サヨナラ、ってことです。
今やってる養鶏だって、鶏たちの都合や主観など欠片たりとも考えていません。
それどころか「鶏のケツ拭きなんざかったるいから他に楽して稼げる農業ねーかな」
とすら思って模索しているくらいですw

そこで考えているのが、養鶏みたいに大規模なものでない、ハウス栽培とかで
ICTを導入した小規模での営農です。
養鶏場にICTを導入した大きな理由の一つとして、
【四六時中面倒を見る必要がないので、空いた時間は他のビジネスが出来るから】
というのがあります。
私としても鶏だけをする気などはないので、ここで自分の農場を持てたら
さらなる収益が望めるのではないかと思うのです。
幸い、土地はあるので何とかこれを活かして次の営農にチャレンジしていきたいです。

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