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君の名は。

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新海誠監督作品

君の名は

今回は先日、一時帰国をした際にわざわざ映画館にまで行って観てきた
アニメーション映画について書きたいと思います。
その映画というのが、今まさにスタジオジブリ級の大ヒットを記録している
新海誠監督の最新作、君の名は。です。

この作品については昨年に情報公開された時から必ず観ると決めていたもので、
当初はブルーレイとかの円盤待ちの予定でしたが、
2016年8月26日から公開されるというのが、まさに私の一時帰国のタイミングと
合致したため、せっかくだからということで観に行くこととしました。

何故必ず観ると決めていたかと言うと、
この映画の作画監督が、私が世界最強の映画だと確信して疑わない
あの思い出のマーニー作画監督でもあった、安藤雅司さんだからです。
安藤さんと新海監督が一緒に制作した映画なんてもはや観ないわけがないですw

このブログが新海監督の作品を紹介するのはこれで3回目となります。
まるでラピュタっぽい作品の星を追う子ども
46分という短時間ながら驚異的なクオリティを見せつけた言の葉の庭に続く
最新作はいったいどういう作品なのか、ネタバレは一部を除き基本的になしの方向で
色々書いていこうと思います。 

  

前前前世

前前前世

 

前前前世 (movie ver.)

前前前世 (movie ver.)

 

 

 

 

男女の心と身体が入れ替わる? 

君の名は 三葉 瀧

この映画は岐阜県糸守町という田舎育ちの女子高校生である宮水三葉と、
東京都新宿区に住む都会育ちの男子高校生である立花瀧という
2人の少年少女が主人公のボーイ・ミーツ・ガール系のアニメーション映画です。

ですがこの映画は開始10分と経たずに、しかも何の前フリも何故そうなるのか
という具体的な説明もなく、唐突にこの2人の心と身体が入れ替わり、
三葉の身体をした瀧瀧の身体をした三葉というシーンが目まぐるしく展開されます。

 

君の名は お前は誰だ

ですが2人は早々に互いが(当人達は【夢の中で】と思っている)
心と身体が入れ替わっているという現象を認識し、
相手側に自分のキャラを出来るだけ保つよう取り決めをします。
性別を履き違えるなとか、勝手にいらんことをするな等の忠告をしつつ
2人は入れ替わった側の生活を取り繕おうとします。

 

君の名は 入れ替わり

しかしそれはどうあがいても土台無理な話で、
不器用で荒っぽいが建築に興味を持っているというお堅い瀧と、
神社の娘で巫女も難なくこなすが都会に憧れるミーハー女子の三葉では
相手側を演じても不自然極まりない有様w

序盤はそれらのシーンでなかなか笑える展開となっていますが、
これが後々そんなことを言っている場合ではなくなることに・・・

 

ふたりの異変

ふたりの異変

 

君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
 

 

 

2人を取り巻く環境

君の名は 糸守神社

田舎と都会、2つのロケーションが存在するこの映画。
三葉と瀧はそれぞれどのような生活をしているのかを簡単に説明します。

 

君の名は 宮水三葉 宮水四葉

まず三葉ですが、彼女は糸守町にある由緒正しき【宮水神社】の娘で、
妹の宮水四葉(画像手前の少女)と、祖母の宮水一葉の3人で
暮らしています。
しかし、神職もこなす程生活自体は出来ているのに、カフェすらないこの田舎町は
面白みがないという理由で、常に田舎からの脱却を望む今風の女子でもあります。

ちなみに父親【宮水俊樹】は糸守町町長であり、母親である【宮水二葉】
病死しています。

 

君の名は

三葉には2人の同級生兼友人が存在します。
画像右の少年が勅使河原克彦といい、彼の家は建設業を営んでいます。
自身は機械&オカルトおたくであり、父親は俊樹の町長選挙のバックアップを
していますが、父親は俊樹と汚職の関係にあります。

画像中央の少女は名取早耶香といい、克彦に想いを寄せています。
姉は町内放送の担当者をしています。
基本的に糸守ではこの3人が主軸となって話が繰り広げられます。
もちろん、三葉と瀧が入れ替わっていてもです。

 

君の名は 東京

一方、瀧の方ですが、東京ということもあって特異な点は見当たらない、
いかにも一般的な都会暮らしの様相となっています。

瀧は父親とアパートで2人暮らしをしており、建築と美術の勉強に励んでいます。

 

君の名は

瀧にも2人の同級生兼友人が存在します。
画像中央の少年が【高木真太】といい、瀧のバイトの代行とかも引き受ける
面倒見の良いキャラです。
画像右の少年が藤井司といい、同じく面倒見の良いキャラではありますが
中盤以降から詳しくは言いませんが結構活躍の場が出てきます。

 

君の名は 瀧 奥寺先輩

瀧はイタリアン・レストランでアルバイトをしていますが、
そこで共に働く職場の先輩である画像左の女性奥寺ミキ
密かに思いを寄せています。
瀧本人の場合はとても親密になれるような段階には至らないのですが、
これが瀧 in 三葉になると・・・、というのも見どころの1つです。

このように、どう考えても接点が出てくるはずもない2人の主人公が
複雑に、かつ奇妙に絡まり合うのがこの映画の主たる流れとなっています。 

  

 

 

ムスビ

君の名は ムスビ 結び

この映画は【糸】とか【紐】といった、結ぶものが非常に重要な意味を成しています。
糸をつなげる、紐を結ぶ等、完全にキーアイテムの扱いです。
しかし結びは何も物理的なものだけとは限りませんで、
神様自体を指す言葉として、人をつなげるものとして、時間の流れとして、
そういった全ての事象を【ムスビ】だと説明するシーンもあります。

いかにも日本ならではの言い回しで、私としても腑に落ちるものはありますが
海外の人とかには「何言ってんだコイツ?」と言われそうな感じはしますw
でもこういった概念を理解した上で中盤以降のストーリーを観ると
より面白さが増す映画になるのではないかと思います。  

 

夢灯籠

夢灯籠

 

夢灯籠

夢灯籠

 

 

 

ベストアルバム的映画

君の名は 彗星

この映画をネタバレなしで語るとなると、
中盤以降は全く書くことが出来なくなりますw
それは何故かとも言うことは出来ませんが、まだこの映画を観ていない方のためにも
言えることをいくつか書きますと、

  1. 新海監督の集大成な作品
  2. 相変わらず背景がきれい
  3. 制作スタッフが今までとはケタ違いに豪華

ということが挙げられると思います。

まず1. についてですが、
実はこの映画、今までの新海監督の過去作品を思い起こさせる演出
ふんだんに取り込まれています。
いわゆる【セルフ・オマージュ】なのですが、それこそ監督がたった1人で作った
ほしのこえから言の葉の庭までの作品に表現していたことを
この映画にかなりわかりやすい形で再登場させているのです。
もっと解りやすく言うなら、音楽のレコードの【ベストアルバム】みたいな感じです。

 

君の名は 星を追う子ども

例えば上の画像ですが、これは中盤に入る直前に出てくる宮水神社の御神体
祀られている場所なのですが、このシーン、まさに星を追う子ども
アガルタを彷彿とさせる演出になっています。
しかもこの場所では、「ここから先は、あの世」というセリフまで飛び出すので
「アガルタやんけw フィニス・テラやろw」と思わずにはいられませんでした。

(ちなみに星を追う子どもは過去記事にアップしていますので
よろしければご覧になってください)

 

それに、言の葉の庭 からはもはやオマージュどころではなく、
誰とは言いませんが、なんとキャラの1人がまんまで登場しますw
未見の方ならさっぱり解らんと思いますので違和感なく観れるでしょうが、
私のような鑑賞済の立場となると、「なんでお前がそこにおんねん!」
違和感しかないですw

言の葉の庭も過去記事で紹介しています)

 

 

とまあこんな感想は過去の新海作品を観たことがあるからこそ思えることなので、
この映画から新海作品を知る人には、何もかも新鮮に観れるのかもしれません。

 

君の名は 背景

続いて2. について。
今作も前作までと同様、新海監督作品ならば間違いなくウリの1つである
背景美術のクオリティは相変わらずズバ抜けています。

君の名は 片割れ時

今回はまさしくアニメーションの背景を提示し、壮大な美しさを魅せていますが、
個人的には言の葉の庭の方が、少なくとも東京のシーンは
よりクオリティが高かったのではないかと思えなくもなかったです。

まあいずれにせよ、ショボいなどということは万が一にもあり得ない出来なので
ぜひ注目してみていただければと思います。

 

君の名は 三葉

最後の3. ですが、今回は新海監督の作品としては今まであり得なかった
公開規模である、全国300館以上での放映が決定していた作品です。
そのためかどうかは知りませんが、今作は制作スタッフが凄まじく豪華に
なっています。

作画スタッフは監督の安藤雅司さんを始めとしたジブリスタッフが多数参加
その上キャラクターデザインが、心が叫びたがってるんだ。や数々の
TVアニメーション作画監督を手がけた田中将賀さんということで、
異色かつ普段ならあり得ない布陣です。

 

私が注目したのは沖浦啓之さんの名前があったことですね。
彼も安藤さんと同様、思い出のマーニーの参加経験がある方なんですが、
このブログでは過去にももへの手紙という作品を紹介したことがあり、
彼はその監督でもあります。

 

 

まあどうしても攻殻人狼のイメージが強烈な方なので、
この作品でもリアル描写を担当しているのですが、やはり賛否両論のようですw
私は別にいいんじゃないかと思ったのですが、世間は厳しいです。

 

このように、新海作品としては色々と規模が超拡大した構図になっているため、
この記事を書いている9月11日現在、興行収入が49億円となっているんだそうです。
これは過去作品で最も売れた言の葉の庭1億5,000万円だったことを見ても
異次元の伸びしろであり、マーニーの35.3億を軽々と超えてしまいました。

今までマイナーの域を出なかった新海監督が、一気にジブリクラスの名監督
なったということなので、私も大変驚いていますが、
これを機にアニメーション映画の面白さがもっと一般層に広まれば
私としても歓迎すべきことなので、ぜひそうなっていただきたいと思います。

 

スパークル

スパークル

 

 

どこかで観たことがあるような映画

君の名は 瀧

と、きれいに映画の感想を書いて締めようかとも思いましたが、
しかしながらここではっきり申し上げますと、
この映画は1度は観たものの、2度以上映画館で観る必要はない映画だと
思っています。
円盤は買うとは思いますが、購買意欲は思った程には沸かないのではないかと
今はそう思います。

というのは、確かに出来はいいし面白くて良い映画だとは思うのですが、
最初から最後まで「どっかで観たことあるような映画やな」という感じが
ついて回ったからです。

つまり【オリジナリティがない】ってことなのです。
この映画はオリジナル・アニメーション映画なのですから
オリジナリティがあって当然なのに、それが感じられないというのは
大きなマイナスと言わざるを得ません。

男女の身体が入れ替わるなんて、それこそ30数年は前の
大林宣彦監督の尾道三部作の1つである転校生から使われているネタですし、
セルフ・オマージュまでやらかしては、「あ、これアレやん」と他の作品を
思い出すばかりになってしまうので、正直興ざめするんですよね。

 

君の名は ティアマト彗星

それにこの映画の話が進めば進む程、どうしてもあるアニメーション映画を
思い起こさざるを得なくなるのです。
本当は似たような邦画・洋画・ゲームからも各1つずつ挙げられる程
候補が浮かびまくるんですが、ネタバレになってしまうのでそれらは割愛しても
これだけは新海監督に対して声を大にして言いたい!

 

「監督、この作品、すごく虹色ほたるっぽいですよね?」と。

 

虹色ほたる

いやこれは本当に虹色ほたるを観ているかのような気がずっとしていました。
いっそ、「それは、まるで虹色ほたるのように、ただひたすらに、美しい眺めだった」とセリフを言い替えてもいいレベルなくらいにw

比較してみると演出の規模こそ違えど、ありとあらゆる構図が似ていると
言い切っても過言ではないと思います。
【パクリ】ではないでしょうが、そう思われてもおかしくない描写は存外多いと
思えてなりません。

正直、この映画が49億も売れるんなら、虹色ほたるもそれ位売れてもおかしくない
と思うのは私だけでしょうか?
もしや向こうは画があまりにもグニャリ過ぎていたから売れなかったんでしょうか?
本当に、世間の感覚というものは私にはわかりません。

ちなみに虹色ほたるも過去記事に存在しますのでよろしければご覧ください。

 


君の名は RADWIMPS

それにこの映画が抱える大きな問題がもう1つありまして、それは【音楽】です。
今回の劇伴はRADWIMPSなる日本のロック・バンドが手がけているのですが、
なんと本編中に歌入りの曲が4曲も存在するのです。

4曲なんていくら何でも多過ぎます。
そもそも映画の音楽って要はBGM、背景音楽なわけです。
場を盛り上げるための引き立て役にしか過ぎないのが、本編を食いかねない勢いで
派手に主張されても困ります。

私はこのバンドのミュージック・ビデオを観に来たわけではないのであって、
オリジナル・アニメーション映画を観に来たのですから、4曲というのは
蛇足もいいとこでした。

歌入りの曲なんて主題歌と挿入歌の2曲で十分です。
むしろ挿入歌もなくていいくらいです。
曲自体は悪くないだけにひどく残念に思える部分でした。
この映画はクーポンで1,000円で観れたからまだ落ち着けている方ですが、
もし基本料金の1,800円でこれを見せつけられたらブチ切れていたと思いますw

 

以上、よろしくない点も色々と挙げてみました。

君の名は。(通常盤)

君の名は。(通常盤)

 

 

Your Name Is

Your Name Is

 

 

まとめ

君の名は 三葉と瀧

おそらく新海監督は次が正念場になるのではと思います。
今作で集大成的な作品を作っては爆売れしたとはいえ、
それが他人のアニメーション映画っぽかった、では格好がつかないのも事実。
次は完全にオリジナリティあふれる新鮮さ全開の作品を
作らざるを得なくなったのではないでしょうか。

ここまで大ヒットしてジブリクラスの領域にまで上り詰めたのですから、
もう一大メジャー監督となったわけです。
この状況での次作は日本全国ありとあらゆる所からプレッシャーが
襲いかかってくることでしょう。
ですがそこを今度は有無も言わせぬ超絶ハイクオリティな作品を提示されることを
心から期待しています。

それまでは新海作品の中で最も良いと思う言の葉の庭を皆様に
お勧めしておきたいと思います。 

劇場アニメーション『言の葉の庭』 DVD

劇場アニメーション『言の葉の庭』 DVD

 

 

なんでもないや

なんでもないや

 

なんでもないや (movie ver.)

なんでもないや (movie ver.)